国家論 第1章第6節 郵便制度

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第1章第6節 国家は国民の利便に用するために郵便事業を行わなければならない。

Chapter 1, Section 6: The nation must operate a postal service for the convenience of its citizens.

個人の言論の自由を保障する為(ため)には信書の自由が保障される必要があります。また、産業が発達するためには、文書が事業体間で安全に、秘密が守られて、可能な限り安価に交換できる必要があります。ゆえに、郵便事業が民営化されてしまうと、国家の基盤が損なわれてしまいます。現在、日本の郵便事業は民営化されていますが、可能ならば、再度国営化を検討すべきです。

例えば、民間事業会社ならば、資本の論理に基づいて、採算が取れない地域で郵便事業が提供されずに撤退されてしまうようなことがあり得ます。このような対応は民間の宅配便事業者ならば、当たり前のことでしょう。

多くの国で、郵便局が金融事業に進出しています。日本ゆうちょ銀行の郵便貯金もその一つです。ゆうちょ銀行に日本人の個人が預けたお金は、戦争前は、日本軍の軍事予算に充てられ、戦後の高度経済成長期には、日本国が発行する円建て国債を引き受けて、日本政府が国内の復興に必要な資金の元になりました。財政投融資と言います。

参考文献

ゆうちょマネー」はどこへ消えたか

新自由主義の考え方では、利益の出ない金融サービスは切り捨てられてしまいます。支店が閉鎖されたり、手数料が値上がりしたりして、小口で少額しか預金できない利用者が切り捨てられてしまいます。民間銀行は富裕層をターゲットにする方が効率が良く、利益が出て、株主に対する配当を増やせるからです。

国民の大多数は富裕層ではない以上、身近に利用できるゆうちょ銀行のような銀行は必要です。簡易保険制度も重要です。民間の保険会社は、利益を求めて保険サービスを提供しているため、保険金の支払いに慎重ですが、国営の保険サービスは、社会福祉制度の一環として、民間の保険会社より国民のニーズに答えられる保険の提供ができるはずです。

以上

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