国家論 第1章第5節 放送制度

第1章第5節　国家は国民の為（ため）に日常生活に必要な様々な情報を提供する目的や、教育や娯楽を目的とした放送が適切に行われるようにしなければならない。

Chapter 1, Section 5: The nation must ensure that broadcasts are appropriate for the purpose of providing various information necessary for daily life for the people and for educational and entertainment purposes.

国家にとって電波は有限な資源であるから、適切に利用する必要があります。軍用や公共のために使用する周波数帯は優先的に割り当てられるべきなのは当然として、産業に必要な様々な周波数帯利用も次に確保されるべきです。そうした周波数の利用と干渉しないような技術的な方法で、一般国民向けのテレビ放送やラジオ放送を行う必要があります。

国営放送はテレビ放送とラジオ放送を制作・放送します。ラジオ放送は地震情報等を緊急時に国民に伝達できるように国家の領域の何処（いずこ）でも受信できるような仕組みを考えて実現する必要があります。平時においては、情報番組、音楽や娯楽、天気予報等をラジオで放送します。

テレビ放送の場合は、毎正時にニュースを流す報道チャンネルが必要です。このチャンネルは、地震発生予測警告や大陸間弾道ミサイル着弾予測警告なども放送します。国からのお知らせもこのチャンネルで国民に連絡します。日常生活に必要な情報を網羅して放送します。公共放送なので、広告は国民に利益がある国内企業の広告を必要最低限度、放送します。広告料金を運営経費に充てるためです。

テレビ放送を使って、教育番組も放送します。実際の教育現場でビデオ教材として利用できる番組はもちろん、番組自体が通信講座授業のように利用でき、単位取得テストを試験会場などで行って、合格点が取れれば、それぞれの教育機関の卒業単位を取得できるようにします。専用の教育チャンネルが必要です。

テレビ放送では、娯楽も提供します。各種バラエティ番組、古典芸術関連番組、音楽番組、コンサート番組、ライブ中継番組、ドラマ番組等です。これらの娯楽番組を提供する際は、日本の文化や芸術、宗教観、一般的な慣習を大切にし、むやみに外国の文化や習慣、価値観を放送しないように注意する必要があります。それを認めると、いわゆる文化帝国主義といわれるような状況に悩まされることになります

ドラマ番組の制作においては、原作がなく、テレビオリジナルの番組は除いて、小説や漫画などで原作があるものは、できる限り原作に忠実にテレビドラマ化（実写化）すべきです。テレビで実写化した際に、原作改変がひどすぎると、原作の読者がテレビドラマ版を批判して視聴してもらえないことがあるからです。

原作に忠実に作る為（ため）には、放送回の長さも重要です。原作が完結している作品が望ましく、原作が長ければ、長く、原作が短ければ、短くと、原作のすべての話を原作の伏線回収通りに順番通りにたどり、最後まで完結すべきです。原作の長短に関わらず10回程度でテレビドラマを区切るのは不適切だと思います。

現在日本のテレビ局の出演者は特定の人物に偏りすぎているように思われます。バラエティ番組でも、いつも同じようなお笑い芸人やアイドルグループのメンバーがどのチャンネルでも同じように出演していて、人気者を出しておけば視聴率が取れるだろうという安易な考えが感じられます。

テレビドラマにおいても、特定の事務所に所属しているアイドルタレントが主役やヒロインを演じることが多く、ややもすると、アイドルタレントのキャスティングが先に決まっていて、原作をキャスティングに合わせる為（ため）改変することもあるようです。本来、テレビドラマのキャスティングは、原作のイメージに一番合っている人をオーディションで選抜すべきでしょう。

国営放送局以外の民間の放送局は放送法に基づいてテレビ放送、乃至（ないし）はラジオ放送を始められるか、長期に亘（わた）って経営的に安定して放送を続けられるかどうかを審議して、免許を与える免許制で認める必要があります。

その際、大切なのはテレビ局とラジオ局と新聞社と出版社をすべて、一つの資本が所有しないようにすることと、外国資本に経営権を乗っ取られないようにすることです。マスメディアの特定個人・組織による独占は、その独占者による政治的、あるいは商業的な理由のプロパガンダが広められる可能性があるからです。

以上