国家論 第1章第4節 鉄道網
第1章第4節 国家は国民の為(ため)に個人の移動や経済活動の動脈として、低廉な料金の鉄道網を拡充し維持する責任がある。
Chapter 1, Section 4: The nation is responsible for expanding and maintaining a network of low-fare railroads as an artery of personal mobility and economic activity for its citizens.
国鉄が解体されてJRグループになった経緯については参考文献で総括されています。
参考文献
しかしながら、現在の時点で一度考え直してみれば、民営化の行き過ぎによって、国家の基本である鉄道網の衰退を招いていると思われます。国内各地方に地方空港が建設されましたが、日本は米国ではないので、大都市間を旅客機で結ぶ交通システムは、日本に相応(ふさわ)しくないと思われます。
また、鉄道による貨物輸送が最もエネルギーの利用効率が高く、CO2排出量も低くすることができます。航空機による貨物輸送はその対極に位置します。長距離トラックによる貨物輸送は鉄道よりエネルギーを消費して、より多くのCO2を排出します。また、トラック輸送には深夜の運行問題、トラック運転手が不足する問題などがあります。すなわち、貨物輸送手段としての鉄道を見直すべきだと思います。
JR各社(JR各旅客会社とJR貨物会社)を再統合し、日本国が全株式を保有する特殊持ち株会社とします。現在、経営が厳しい状況にあるJR北海道、JR九州、JR四国は大都市圏を抱える他のJRと同じ会社になることで、経営が安定するでしょう。そうなれば、北海道新幹線と九州新幹線の建設もスムーズに進めることができるはずです。また、四国にも新幹線を建設できます。民間会社のJR東海ではなく、国鉄に戻れば、リニア中央新幹線の事業も国策として県知事の許可は必要なく進めることができると思われます。
国鉄の民営化が40年近く経過したため、地方ローカル線の廃止が進んでいます。1時間毎(ごと)に少なくとも1本は電車があれば、通勤や通学、買物などに利用できます。ところが、本数がこれ以上減らされてしまうと、通勤や通学、日常の足などに利用できなくなって、地元の人は自家用車や自動二輪車などを購入してしまい、ますます鉄道が利用されなくなるという悪循環に嵌(は)まってしまいます。これでは過疎化が進むだけです。
国家の責任として、日本国内なら何処(どこ)に暮らしていても、大都市圏にアクセスできるようにすべきだと思います。鉄道が失われた地方では、車が無ければ生活ができなくなるので、高齢ドライバーが免許を返上する率も良くありません。
そのためには、唯(ただ)、元に戻すのではなく、民間鉄道事業者との切り分けのためにも、旧国鉄時代に存在していた地方ローカル線(現在は廃止されているものも含む)の線路幅を順次、標準軌に変更すると良いと思います。
つまり、国鉄は全線路を標準軌にするのです。北海道から九州まで、大動脈として新幹線網を完成させます。全線路を電化区間にし、民間では維持できない不採算路線でも、利益の出ている路線から経費として計上して、例えば1時間毎(ごと)の運行を続けます。これで、地方活性化の為(ため)の動脈を維持できることになります。人口減少、過疎化に一定の歯止めを掛けることができるでしょう。
次に、既存の新幹線とは別に貨物専用の貨物新幹線を開発・製造します。新幹線の駅まで貨物新幹線で貨物を運び、新幹線の先頭車と違って高速運転はできない通常の電車の先頭車を、運ばれてきた貨物新幹線の中間車両の内、当該ローカル地区向けの貨物の入っている車両と連結してローカル線の目的駅まで運びます。その駅で宅配便事業者や運送業者に引き渡すようにすれば、国家の大動脈として立派に役に立つでしょう。
参考リンク どうなる「貨物新幹線」 JR貨物社長が2030年めどに導入判断の方針を表明
参考リンク 「貨物新幹線」は必要だが、その前に現在の鉄道貨物を改善すべき
以上
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