国家論 第1章第2節 上下水道
第1章第2節 上下水道の歴史的、公衆衛生的意味に関する話。
Chapter 1, Section 2: The story about the historical and public health significance of water systems and sewage systems.
参考文献
水資源は人間が生きる上でも、農業や工業を支えるために必要であり、日本の水道法に書かれているように可能な限り低廉で安定的に供給が続くように国家は努力しなければなりません。その場合、間違った選択は水道事業の民営化です。そもそも、民営化したならば、水道事業は営利を目的とした利潤追求が目的となってしまって、国家の安全と国民の健康と生存を脅かしてしまいます。
参考文献
人間は水を飲めないとすぐに命を落としてしまいます。食べ物が食べられなくても1週間程度は生きられるのと比べると水が如何(いか)に大事かがわかります。したがって、国家はすべての国民に、可能な限り低価格な料金で水を提供する必要があります。生活困窮者に対しては水道代金を免除するのは当然だと思います。
日本では上水道に虫歯予防のフッ素が添加されていないようですが、世界中の多くの国では上水道にフッ素が添加されて虫歯予防に効果を発揮しているようです。汚い水しか飲めないと伝染病が流行する温床になります。また、水洗便所に代表されるように、下水道が完備されないと人間の屎尿(しにょう)が生活環境に長く止まることになり、これも公衆衛生環境を悪化させます。飛鳥時代に頻繁に都が移転したのは下水道が無かったため、それが原因で疫病(伝染病)が流行したので、環境が悪くない新しい場所に遷都したという説もあります。
農業は水が無ければ、干ばつの状態になって、農産物が収穫できなくなるので、農業用水の安定的確保と低料金で供給することが大切です。工業用水も半導体産業では、純水に近い不純物の少ない工業用水が低価格で提供される必要があります。製紙産業はパルプから紙を作るために大量の水が必要です。鉄鋼業は冷却用に大量の水が必要です。繊維産業は染色の為(ため)に大量の水が必要になります。したがって、工業用水も安定的確保と低料金で供給することが大切です。
仮想水(バーチャルウォーター)の問題もあります。実際には農産物(野菜や小麦や米などの穀物、食用家畜の肉)の形で日本が輸入している水資源の問題です。気候変動などで世界的に水資源が逼迫(ひっぱく)すると農産物の輸入価格が値上がりするという形で輸入できなくなるかも知れません。
この問題を解決するには、時間とコストが掛かりますが老朽化した下水道を更新する際に、現在の合流式から分流式に変更して雨水と生活雑排水とを分けて、雨水の方を水資源として利用できるような施設を建設すると良いかも知れません。
参考リンク 東京都の合流式下水道の現状と課題について
以前、海上農場島で記述した、台風の雨を海上で集める海上ダムのような施設が建造できれば、大量の水を輸出することもできるはずです。国家は公共サービスとしてこうした事業に取りかかるべきです。
国内の農家に供給したりするだけでなく、外国への輸出もできれば、農産物の形をした仮想水が低価格で輸入できるようになるでしょう。
輸出先としては隣国である中華人民共和国が有望だと思われます。国土が広く水資源が不足していて、日本の水資源を狙っている感じもあります。それならば、逆に積極的にこちらから輸出の対象国にすべきでしょう。海上を輸送する場合も距離が近いので、輸送コストが他国より低くて済むはずです。うまくいけば、輸出で利益を出すことができ、農産物の輸入価格が安くなって物価安定に寄与し、中国東北部の緑化が進めば、黄砂に悩まされる回数も減ることが期待できます。
以上
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