日本語パソコンについて。

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旧ブログ記事を更新(初出2013年10月29日)
About a PC for exclusive use of Japanese language.
We need the Standalone PC and connection line type office Local Area Network.

第1章

はじめに、アップル社のMacでも、WindowsのプレインストールされたIBM PC/AT互換機でも日本語は普通に使えるのに、何の話だと思うかも知れませんが、それらは本物の日本語パソコンとは言えないのではないかと思います。基本的に英語版で先ず開発されて、日本語化対応では無く、CJK漢字(中国・日本・韓国の漢字をUNICODEで一緒くたにしたもの)に対応して、マルチバイト化されたものだと言えるでしょう。

第2章

昔話、昔だとアップル社やMicrosoft社の製品が中国、韓国、その他のアジア諸国で大量に売れると言うことが無かったので、英語版を元に日本語化が行われていました。そちらの方がまだしも日本語パソコンと言えたかも知れません。

Microsoft社は当時、日本に好意的で、日本企業の出版&パソコンソフト開発会社のアスキー社(社長は西和彦氏)と協力して、日本語化を行っていました。笹塚にあった日本マイクロソフトの社長(古川享氏)は日本人でしたし、日本マイクロソフトは米国Microsoftの直轄でした。今は、アジア事業部の下になっています。Microsoft社における日本の地位が低下したと言うことです。

アップル社は、当時は日本語化には積極的ではなく、英語でそのまま使うのがMacであり、アップル社のスタイルという感じだったので、日本では、IBM PC/AT機に比べるとかなり高価なMacを米国から個人輸入で購入し、サードパーティ製のソフトで日本語化して使うという感じでした。何故か当時はMacのユーザーにはお医者さんが多かったように思います。その後、MacはOSレベルでマルチバイト化して、とても使いにくい日本語変換フロントエンド・プロセッサの「ことえり」を搭載したりしたのですが、殆どのユーザーはもっと便利な「EGBRIDGE」や「ATOK」を購入して使っていました。

2013年10月28日にインテル社は日本法人の社長交代を発表しましたが、同時にインテルの日本法人の管轄が、今までの本社直轄からアジア事業部傘下に変わるとも発表しました。中国や韓国を初めとして、ASEAN諸国での売り上げが日本市場より随分前から上回っていたわけだから、当然のことであり、よく我慢してくれたとインテルに感謝すべき事かも知れません。

以前、日本にはPC9801シリーズというパソコンがありました。日本電気という会社が開発し、製造販売していました。日本電気は早くからインテルのCPUに目をつけて、TK-80と言うワンボードマイコンのキットを出したりしていました。アメリカでIBM PC/AT互換機が価格破壊をしながら普及し初め、それまで、パソコンといえばアップル社のAPPLE Ⅱ(アップルツー)シリーズが代名詞だったのが、市場シェアで逆転し始めたのを見て、IBM PC/AT互換機と中身がよく似ている独自規格のパソコンを日本の市場に投入し始めたわけです。PC-6001、PC-8001、PC-8801、と8 bit系が次々と発売されて、16 bit系のPC-9801が発売され、一大ベストセラーになったわけです。

PC-9801には日本語ROMが載っていました。また、グラフィック周りの標準がIBM PC/AT互換機は640480なのに対して、PC-9801は640400と言うように違っていましたが、インテルのCPUを使っていて、周辺ICも似たような機能を提供するICだったので、Microsoft社はN88BASIC、NEC版MS-DOS、NEC版MS Windows Ver 3.11のように独自仕様のパソコンに対応してくれたわけです。当時、漢字ROMの無いIBM PC/AT互換機上で、IBM PC/AT対応の日本語版MS BASICや日本語版Windowsを動かすと、漢字ROMが無くてファイルから読み出されるので、表示が目で差が分かるほど遅くなっていました。

やがて、いろいろな理由から、日本市場でも独自パソコンは滅んでしまい。今のようなIBM PC/AT互換機のみの市場になってしまったわけです。現在、パソコンを購入する場合、Macを買うか、それ以外を買うか、と言う選択肢しかなく、ハードの違いは殆ど無視されて、予算の許す範囲でCPUのクロックが早いもの、CPUコアが多いもの、メモリの多いもの、搭載されているGPUの性能が良いものを選ぶだけで、実質、Macか、Windowsか、でしか選ばなくなっているわけです。

第3章

本当の日本語パソコンとは?先ず一番肝腎なことは、ASCIIコードを完全に除外することです。もしかしたら、CPUレベルから独自開発しないと実現できないかも知れません。何しろ、x86系もARM系も8 bitのアスキーコードが存在することが大前提になっているので、8 bitのコードの全くない環境では、何かの設定とかができない可能性があるからです。

日本語の全ての文字にコードを割り振るならば、最低でも32 bitは必要です。最初に日本語パソコン用に32 bitで文字コードを決める必要があるでしょう。そして、それ以下のビット数の文字コードは原則禁止する必要があります。何でそんなことをする必要があるのかというと、日本語を基本とするからには、日本語を表現できないコードがパソコンのハードウェアやOSでサポートされると言うことは混乱の元になるからです。

英語が母国語のプログラマーにプログラミングについて聞いてみれば分かることですが、彼らはコードの問題について悩んでいないのです。一方、日本のプログラマーにとって、常に頭から離れないことが、日本語コードの問題なのです。日本語専用のソフトを日本語化されたMac OS XやWindowsやAndroid OS上で開発する場合も日本語コードの問題が発生します。それは、これらのOSのファンクションコールがASCIIコードやUTF-8(8 bitで表現されたUNICODE)のプログラムから呼ばれることが想定されているからで、英語でプログラミングするときは、何も気にする必要が無いのに対して、日本語でプログラミングするときは常に、このファンクションコールは日本語文字が使えるかどうか確認したり、OSの環境変数の設定が日本語でかつマルチバイト対応になっているかどうか確認したりするコードを書かなければならないとか、いろいろと問題が増えるのです。

最初から、内部文字列をUCS16(16 bit版UNICODE)で処理しているOSやアプリケーションも増えてきたのですが、その場合も、単語の間が、空白ではっきりと区分けされている英語系の文字列に対して、連続している日本語の文字列の処理が旨(うま)くいかないような事に類する事がたくさんあり、最初に英語版を作成して、デバッグが済んでから、CJKマルチバイト版を、できる限り修正しないように開発する手法の場合、英語版に比べてバグが多い、一部機能が実現できないなどの不満足な結果になりやすいわけです。

なので、この際思い切って、8 bitコードとは縁を切る必要があります。16 bit で割り振ることのできるコードの数は65536個で、日本語でふだん使わない漢字まで含めると不足するので、32 bitコードを1文字と考えるパソコンを作ると言うことです。

第4章

漢字ROM的な物の復活が大切!Macはまだましなのですが、Windowsは何時(いつ)まで経(た)っても、フォントが汚いです。本当の日本語パソコンならば、最低限、日本語表示がきれいであるべきでしょう。また、IBM PC/AT互換機に限れば、起動時の表示やBIOSのメニューなどが、古いタイプのBIOSの場合、英語なのも格好悪いでしょう。UEFI形式のBIOSの場合は、BIOSメニューで日本語を選択できるようになっていますが、メニューに必要な漢字データのみを用意してあるだけです。

日本語パソコンは、ハードウェアレベルから日本語に対応しているべきだから、当然、日本語を表示できるようにしておくべきでしょう。ただし、滅多(めった)に使わない漢字はファイルでディスクに保管しておくべきで、日常使われるフォントを、ドットと、ベクターの両形式でROMのような高速でアクセスできるところに保管しておくべきです。すべてのソフトが多彩なフォントを駆使する必要があるわけでは無いから、ワープロ、イラスト作成ソフト、グラフィック作成ソフトなどを除いて、大抵のソフトは、ハードウェアでサポートされ、OSから簡単に利用できるこの漢字データを利用するようにすればいいでしょう。

当然、OS本体も利用するので、高品質の48 bit以上の、嘘字(うそじ)にならない漢字データを、ファイル名の表示のような普通のサービスで利用するようにできれば、嘘字(うそじ)で無く、美しいフォントで表示された画面で、パソコンを操作できるようになるでしょう。

第5章

日本語変換FEPのハードウェアレベルのサポートがあるべきです。日本語パソコンは日本語を処理するパソコンなのだから、日本語を入力する手段が最初から提供されているのは当然です。現在のMac、Windowsも標準機能として、提供しています。OSも独自OSとなれば、BIOSが起動しているだけでOSが起動していないというタイミングは無いのかも知れませんが、要は、電源を入れたら、すぐに日本語入力ができるように開発し、設計すると言うことです。個人が好きな日本語FEPをインストールできる仕様にする必要は有りますが、他の日本語FEPがインストールされていないか、壊れた場合は、パソコンの日本語FEPが自動的に立ち上がって、日本語入力を実行できるようにします。

ここで、8 bitコード廃止の恩恵がでてきます。多くの人が、毎日毎日、幾度となく、日本語変換FEPをオンにして、UTF-8の漢字コードを入力し、日本語変換FEPをオフにして、半角英数字(8 bitコード)を入力することをキーボード上で繰り返している筈(はず)ですが、ここで考えている日本語パソコンには半角英数字はコードとして存在しないので、日本語変換FEPは常にオンのままです。英数字は全角のみ存在する事になります。つまり、平仮名と片仮名はキーボードの入力形式(ローマ字入力、あるいは、かな入力)でそのまま入力され、漢字については今までのパソコンと同じで、様々な変換方式で漢字に変換するようにします。

ところで、LANのルーターの設定とか、Linuxの設定ファイルの変更のような半角英数字の入力がどうしても必要な場合はどうするのかというと、この日本語パソコンでは、そういう仕事はしないというのが一番正解だと思います。次善の策としては、全角英数字を半角英数字に変換するモード付きのターミナルソフトを用意するということになるでしょう。

第6章

本当の日本語パソコンが存在しないから、日本語ネイティブの人間が従来のパソコンのプログラミングを仕事にすると、本来の創造性を発揮すること以外に、日本語コードのような些末(さまつ)だけれど、バグの原因になる事柄に能力を割かれることが日本語圏から、画期的なソフトウェアがなかなか生まれない理由かも知れません。

従来のパソコンの開発メーカーが日本語への対応をおろそかにしていく傾向が今後も続いていくと、その内、MacもWindowsもAndroidも日本語版の対応を中止するかも知れません。もし、そうなったら、中国語用のパソコンで、日本語の漢字仮名交じりの文書をかかなければならない羽目に陥り、簡体字(かんたいじ)で我慢しなければならなくなるかも知れません。

市場が限られているので、一台一台の価格は、従来のパソコンより高価になるでしょうが、日本語が、世界の従来のパソコンメーカーから無視されていくのならば、逆に、日本語パソコンを開発、製造販売する事業は成立するのかもしれません。

第7章

コンピュータと通信網は本来は別々の設備でした。ATTと呼ばれる日本の電電公社のような会社が附属のベル研究所でコンピュータOS、UNIXを開発したのですが、独占企業を認めないという当時のアメリカ政府の方針で、ATTはコンピュータ製造販売が禁止されていました。それで、ATTは磁気テープの送料だけで、ほぼ無料で大学などにコピーを配付していました。後述する自由化で、ATTはUNIXの有料化に踏み切るのですが、それに対抗して、カリフォルニア大学バークレー校で作られたUNIX互換のOSがBSDです。

逆にIBMと言う会社はコンピューターメーカーだったのですが、幾ら技術力があっても、通信サービスへの参入は禁止されていました。この垣根が壊されて、現在は何をしても自由になったのですが、元々別々だったように、コンピュータを使用して実務作業を行う場合、本当はインターネットに常時接続している必要はありません。インターネットに常時接続していると、逆にいろいろな弊害もあります。

まず、各種ネット犯罪の件があります。常時接続しているからファイヤーウォールなどの対策を立てる必要があるわけで、接続しないのが当たり前ならば、この種の犯罪は困難になり、対策に関わるコストも劇的に減らすことができるはずです。

次に、生産性の低下の問題があります。昔、パソコン通信が盛んだった時代に、会社で仕事中にチャットばかりしていて、働いているふりをして働かない社員がいて困るという話がありました。チャットは、インスタント・メッセンジャーという名称のサービスとアプリとして今も使われています。今も、仕事中に職務と無関係の無駄話をしている人がいるかも知れません。

スパムメール等、メールの問題もあります。スパムがたくさん来ると、重要なメールとスパムやダイレクトメールの区別をしているだけで小1時間経過してしまい。何かを生産するような前向きの仕事を何もしていないのに、このような無意味な後ろ向きの仕事だけで、就業時間を無駄に費やし、疲労し、困ったことに仕事した気になってしまうと言うこともあります。

よく調べもしないで、ネットの情報を鵜呑(うの)みに信じてしまうような事も問題になると思います。検索エンジンで検索した結果を基に、会社の資料などを作成したりしたら、根拠の薄弱な資料を作成してしまうかも知れません。それだけならまだしも、盗用・著作権侵害で訴えられるかも知れません。そのような事態にならないためには、自社に著作権や特許権のある資料のみを利用するように制限し、有料の各種データベースを利用できるようにしておくべきでしょう。

ソニーピクチャーエンターテイメント株式会社がハッキングされたとき、一時的に社内文書の作成を手書きで行う羽目になったと言われています。スノーデン氏が世界中の首脳の携帯電話や電子メールをアメリカの組織が盗聴していると暴露したときに、ドイツ政府は本気で公文書の作成に電動タイプライタの使用を検討したそうです。

第8章

日本語の場合は、和文タイプライタは既に博物館にしか実物はないでしょうし、日本語ワードプロセッサ専用機も半導体製品なので、半導体の劣化でほぼ寿命になっていて、稼働できるワープロは殆どないのではないかと思われます。

いつの間にかパソコンを起動するとき、同時にインターネットに接続する事が当たり前になっていて、パソコンのOS自体も頻繁にネット経由でアップデートを受け取って更新しなければならないようになってしまっています。つまり、現在のパソコンはインターネットに接続しなければ何もできず、起動するのにもネット接続が必要になっているのですが、コンピュータの本来の機能からすればそうである必要はないのです。

自動車と同じような品質に関する考えを適用して、不具合のないハードウェアを提供すること。もし出荷後、問題が発見されたら、リコール(メーカーが無償で交換すること)を義務づけます。この考え方をソフトウェアにも適用して、バグの無いソフトウェアを提供するのがメーカーの責任であり、義務であるとします。当然、バグが見つかったら、リコールの対象になるわけです。

こうした、品質管理の考え方に基づいた、いわば普通の製品になったパソコンと日本語ワードプロセッサ専用機ならば、ネットを通じたアップデートは必要ないはずです。また、スタンドアローンで使用できるはずです。

と言って、会社のパソコン間でデータの交換を行うときに、USBメモリのような物理的媒体だけしか利用できないのも、ネットワークになれた現在では面倒くさいでしょうから、インターネットプロトコルやイーサネットプロトコルとは別の方式で、必要な時だけ接続相手のパソコンに接続し、データの交換が終了したら、接続を切るような方式の社内LANシステムが開発され、実用化されることも必要だと思います。

以上

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